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老健(介護老人保健施設)は、特養と並んで介護転職の「2大選択肢」です。ただ、名前が似ているせいで中身の違いを知らないまま応募し、「思っていた仕事と違った」と早期退職につながるケースを、採用側として何度も見てきました。
介護現場15年、施設側で採用面接も担当してきた筆者(介護福祉士)が、老健の給料相場・仕事内容・特養との違いを、面接で見ているポイントまで含めて解説します。
この記事でわかること
- 老健と特養の違い早見表(役割・給料・働きやすさ)
- 老健の給料相場と、求人票で必ず見るべき内訳
- 採用側から見た「老健に向く人・向かない人」
- 面接で確認すべき老健特有のチェックポイント
まず結論:老健と特養の違い早見表
最初に全体像です。同じ「入所施設」でも、役割がまったく違います。
| 老健 | 特養 | |
|---|---|---|
| 施設の役割 | リハビリをして自宅に帰るための中間施設 | 長期入所の「終の棲家」 |
| 医療体制 | 医師が常勤。看護師・リハビリ職も多い | 医師は非常勤(嘱託)が中心 |
| 利用者の介護度 | 中程度が中心。回復していく人も多い | 要介護3以上。重度が中心 |
| 利用者の入れ替わり | 多い(入退所が頻繁) | 少ない(長期の関わり) |
| 給料水準 | 特養と並ぶ高水準 | 施設系で最高水準 |
| 学べること | 医療・リハビリ視点、多職種連携 | 重度者の介護技術、看取りケア |
ひとことで言うと、「医療・リハビリに近い環境で学びながら働きたいなら老健、介護技術を深めてじっくり関わりたいなら特養」です。
老健とはどんな施設か
老健(介護老人保健施設)は、病院を退院した高齢者がリハビリを受けながら在宅復帰を目指す施設です。入所期間は原則3ヶ月ごとに見直され、「帰る」ことが前提にある点が特養との最大の違いです。
現場で働く立場から見た特徴は3つあります。
- 多職種がそろっている:医師・看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)などが常駐し、介護職も医療・リハビリの視点を日常的に学べます
- 利用者の回転が速い:入退所が頻繁なため、受け入れ準備・退所支援・書類業務が特養より多くなります
- 「良くなっていく人」を見られる:歩けなかった人が歩いて退所する場面に立ち会えるのは、老健ならではのやりがいです
老健の給料相場|求人票は「内訳」を見る
老健の介護職の給料は、施設系の中では特養と並ぶ高水準です。筆者が採用側で見てきた求人相場の目安は次のとおりです(地域・法人規模・資格で大きく変わります)。
| 条件 | 月収の目安 |
|---|---|
| 無資格・未経験(夜勤あり) | 21〜25万円前後 |
| 初任者研修〜実務者研修(夜勤あり) | 23〜28万円前後 |
| 介護福祉士(夜勤あり) | 26〜32万円前後 |
給料を比較するとき、採用側として必ず伝えたいのは「月収の総額ではなく内訳を見る」ことです。
- 夜勤手当:1回8,000〜15,000円が相場。月収例に「夜勤5回分込み」と書かれていないか確認
- 処遇改善加算:毎月支給か、賞与でまとめてか、支給方法は法人ごとに違います。詳しくは処遇改善加算の解説記事へ
- 基本給:賞与・退職金の計算元になるため、手当より基本給が高い求人のほうが長期的に有利です
施設種別ごとの給料の違いは介護職の施設別給料比較で詳しくまとめています。
老健の仕事内容|特養との現場感覚の違い
基本の介護業務(食事・入浴・排泄介助)は特養と共通ですが、現場感覚はかなり違います。
- リハビリとの連動が多い:リハビリへの送り出し・迎え入れ、歩行の見守りなど、「動ける人を支える」場面が多くなります
- カンファレンス・記録が多め:在宅復帰を目指す施設なので、多職種での情報共有と書類が特養より多い傾向です
- 入退所対応:利用者の入れ替わりが頻繁なため、新しい利用者の状態把握を短期間で繰り返します。「顔ぶれが変わる職場」が苦にならないかは適性の分かれ目です
特養と老健、どちらが働きやすい?
採用側として両方の職場を見てきた結論は、「どちらが楽か」ではなく「どちらが自分に合うか」で選ぶべきです。
- 老健が向く人:医療・リハビリの知識を吸収したい人、変化のある職場が好きな人、将来ケアマネや医療系資格も視野に入れている人
- 特養が向く人:一人ひとりとじっくり長く関わりたい人、介護技術を深めたい人、看取りまで含めたケアに関心がある人
特養の働き方やきつさの実態は特養への転職はきつい?理由と働きやすい特養の選び方で詳しく解説しています。
採用側から見た老健転職の注意点3つ
- 看護と介護の関係性を面接で確認する
老健は看護師の人数が多く、施設によっては介護職との力関係に偏りがあります。働きやすさを大きく左右するポイントなので、面接で「看護職と介護職の連携はどんな形ですか」と聞いてみてください。この質問で嫌な顔をする施設は要注意です。 - 「在宅復帰率」を聞いてみる
在宅復帰にしっかり取り組む老健ほど、リハビリ・多職種連携が機能しています。逆に復帰率が低く長期入所者ばかりの老健は、実態が「医師のいる特養」に近く、期待する学びが得られないことがあります。 - 書類・記録の負担を確認する
記録の電子化が進んでいるか、残業にどの程度影響しているかは施設差が大きいポイントです。見学時にスタッフが手書きで記録に追われていないか見てみてください。
よくある質問
Q. 未経験でも老健に転職できますか?
可能です。医療職が多いぶん、急変時に相談できる相手が近くにいるのは未経験者にとってむしろ安心材料です。ただし覚えることは多めなので、教育体制の確認は必須です。研修が充実した職場の見分け方は研修制度の比較記事にまとめています。
Q. 老健の夜勤はきついですか?
夜勤の人員体制はフロアあたり1〜2名が一般的で、特養と大きくは変わりません。ただし老健は医療ニーズの高い利用者もいるため、夜間は看護師のオンコールや当直体制があるかを確認しておくと安心です。
Q. 老健で働くと、どんなキャリアにつながりますか?
多職種連携の経験が積めるため、ケアマネジャー(介護支援専門員)や相談員へのキャリアと相性が良い職場です。医療知識が身につくので、病院の介護職への転職でも評価されます。
Q. 老健と特養で迷ったらどうすればいいですか?
両方の求人を並べて比較するのが一番です。1社の転職サービスに登録すると両タイプの求人を横断して比較でき、施設ごとの内部情報(職場の雰囲気・残業実態)も確認できます。
まとめ:老健は「学びながら稼げる」施設
- 老健は在宅復帰を支える中間施設。医療・リハビリに近い環境で学べる
- 給料は特養と並ぶ高水準。ただし求人票は総額でなく内訳(基本給・夜勤手当・加算)で比較する
- 面接では「看護と介護の関係」「在宅復帰率」を確認すると、働きやすさを見抜ける
老健の求人を効率よく比較するなら、施設の内部情報に詳しい転職サービスの併用が近道です。介護転職サービスおすすめ4社比較で、タイプ別の選び方をまとめています。
▶ 関連記事:【2026年版】介護転職サービス4社を目的別に比較
▶ 関連記事:施設形態で求人を比較できる介護転職サイトのランキング

介護福祉士。介護業界で15年、現場の介護職員として勤務した後、施設の相談員として採用面接・求人対応を担当。「採用する側」と「働く側」の両方を知る立場から、介護職の転職情報を発信しています。
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